いま世界は一風堂に恋をしている。2008年のNY進出以降、海外12ヵ所に店を構え、全世界で1日約7万人が利用するなどまさに福岡発のナショナルブランド。そんな我らが一風堂は今年“変わらないために変わり続ける”理念を改めて感じさせる興味深い新展開があった。その最たるものが立ち呑みもできる「一風堂スタンド」である。日本酒＆ラーメンの角打ちスタイルは「IPPUDO NY」から着想を得た逆輸入型業態。2月開業の天神西通り店は国内3店目、九州では初となる。まず“呑み”の魅力を述べると、今や全国の酒好きを唸らせる「博多住吉酒販」が日本酒を監修。酒の味をチャートに分けて提案、飲み比べが楽しい「イロハニ枡」も用意するなど日本酒ビギナーも肩肘張らない工夫をほどこす。月1回酒蔵からゲストを迎える「酒蔵ナイト」もファンの間口を広げるイベントだ。そして肝心のラーメンはいかに。馴染みの赤丸新味、白丸元味はもちろん人気だが、ここでは32周年記念で登場した「ソースとんこつ」を特筆したい。自慢の絹ごし豚骨と複数のソース、スパイスを合わせた驚きのスープ。ひと口啜ると過去食べた“ソースだく”なさまざまな料理の味が頭をよぎるが、一瞬後、どれとも非なる未体験の味だと気づく。思わず笑みがこぼれる不思議な一杯だ。180円から楽しめる本格つまみと日本酒、そして本格ラーメン。使い勝手のいいスタンドを利用する機会が増えそうだ。